後期研修を考える際、多くの医師がまず悩むのが「大学病院」か「市中病院」かという選択です。それぞれに特徴があり、どちらが優れているというよりも、「自分がどんなキャリアを目指すか」で最適な選択は変わってきます。
私自身、大学病院にしか後期研修プログラムが存在しないマイナー科を選んだため、都市部の大学病院の医局に入局しました。
よく「医局=ブラック組織」と表現されることがありますが、実際には多くの医師が医局に所属しています。今回は、偏った意見に流されず、大学病院の医局に入局するメリット・デメリットをフラットに解説していきます。
また、後期研修プログラムを選ぶ際のポイントや失敗しない選び方のコツについては、別途note記事に詳しくまとめています。後期研修プログラム選びで迷っている方や、シーリングがかかっている地域で人気診療科を目指している方は、ぜひそちらもご覧ください。
入局するメリット
人脈が広がる
これが医局の最大のメリットかと思います。いろんな人と知り合うことができ、苦楽を共にし、経験値が高い上級医から教えて頂ける教育体制も整っています。
医師の世界はコネです。医局を抜けた後も、就職やバイト探しにも、この繋がりが活かされることも少なくありません。バイト相場が崩れてきている昨今でも、よい条件のバイトは医局が握っていることが多いです。
また、もし自分の都合で一時的に抜けざるを得ない状況になった場合、代わりにカバーしてくれる人がいることは非常に重要です。特に女性の場合は、妊娠や出産といったライフステージに合わせて一時的に休む必要が出てくることもあります。そのため、チーム内でサポートし合える環境があるかどうかは、とても大切なポイントです。
幅広い症例を経験できる
大学病院には聞いたことがないような非常に難しい症例が集まってきます。中には世界で数例などの激レア疾患も。このような症例は、学会発表や論文報告ができます。特に後期研修は診療科にはよりますが、JOslerをはじめとした症例集め、学会発表、論文執筆などが専門医取得に必要な場合が多いです。大学の医局に入局し敷かれたレールに乗っておけば、まず症例が足りないということはないでしょう。
大学病院と市中病院どちらも経験できる
意外と忘れられがちなのがこちらです。大学病院の医局に入局すると、大学病院だけでなく、医局人事により市中病院にも出向するケースが多いです。しかも、大学病院の関連病院は大規模な病院が多いため、スキルアップや人脈形成がしやすい環境と言えます。
極端な例としては、
- 大学病院4年+市中病院1年勤務
- 大学病院1年+市中病院4年勤務
といったパターンも存在します。これによって、QOLや待遇も大きく変わってきますよね。
同じ診療科でも、大学病院と市中病院で勤務する年数は医局によって異なるため、事前にチェックしておくことが重要です。
留学や大学院進学の機会が得られる
留学や大学院進学は、医局に入っていなくても自分で留学先を探したり、大学院に入学するために後から入局することも可能です。しかし、自然と情報やチャンスが回ってくるのは、やはり医局員でしょう。
特に留学の場合、人脈やコネが非常に重要です。そのため、留学実績が豊富であったり海外にコネがあるボスがいる医局に入ることで、情報提供や推薦を受けやすくなります。
実際、多くの留学希望者は、こうした医局ネットワークを活用して留学しています。
出世を目指せる
近年では、教授や部長職は働き方に見合った待遇が受けられず、目指す人が少なくなっているかもしれません。しかし、実際に仕事をしているうちに、自然と上を目指したくなったり、仕事自体が楽しくなってきたりと、将来の展望は意外と予測できないものです。
そのため、教授を目指したい人や、総合病院で部長職以上を目指す人にとっては、医局に所属していることが圧倒的に有利だと言えます。
入局するデメリット
給料・待遇が期待できない
大学病院の過半数以上が赤字である現在、大学病院からの給料のみで生活するのは厳しいのが現状です。そのため、多くの医局では外勤日を設け、大学からの給料に加えて外勤先からのバイト代で収入を補う仕組みを整えています。
この仕組みにより、医局員は給与面の安定と経験値の両立が可能になります。また、外勤先では大学病院では経験できない症例や診療スタイルに触れることもできるため、スキルアップにもつながるのが大きなメリットです。
しかし、外勤先が遠く移動に時間がかかったり、土日や勤務時間外の勤務を課されることもあり、なかなか厳しいのが現状です。
その点、市中病院であれば外勤なしでも安定した給料と休みが確保できる場合が多い点が大きな強みです。
医局人事で勤務先が決まる
多くの医局員は、医局人事によって勤務先の病院を異動します。中には、関連病院が全国規模にわたる医局も存在します。単身であればまだしも、家族連れの場合は容易ではありません。加えて、引っ越しの労力や費用の負担も大きくなります。
そのため、入局を検討している医局がある場合は、必ず関連病院の範囲や勤務地を事前に確認しておきましょう。
雑務が多い
こちらは大学病院勤務の場合ですが、一般的に大学病院は市中病院に比べて雑務が多いとされています。たとえば、学生教育や研究、カンファレンスの準備などが挙げられます。
また、実際に大学病院で働いていると、「これは医師の仕事なのか?」と疑問に思うような業務も少なくありません。例えば、ルート確保や胃管留置などの基本手技、検体運びや患者さんの搬送などです。
「市中病院では看護師さんがやってくれる」とよく聞きますが、これは実際その通りです。市中病院では、医師が専門的な診療に集中できるような体制が整っていることが多く、業務の分担が明確になっています。
後期研修プログラム変更・転科はできる
じつは初期研修と同様に後期研修もプログラムの変更が可能です。しかも、診療科はそのままでプログラムのみ変更する場合は、年次がずれることなく専門医も取得可能な場合が多いです。ただし、学会やプログラム責任者の承認が必要な場合があるため、転入先の施設・医局に事前に確認しておくことが大切です。
実際に筆者の知人で後期研修プログラムを変更した人と転科した人どちらもいますが、一時的に苦労はされましたが、今は生き生きとご活躍されています。後期研修選びを誤ったからといって、人生が終わるわけではありません。
むしろ、「自分に合っていないかも」と感じた時点で早めに軌道修正できる柔軟さのほうが大切です。医師としてのキャリアは長く続くものですし、環境を変えることで見えてくる新しい視点や出会いも多くあります。
「とりあえず今の選択が最善」と思える場所で頑張りつつ、違和感を覚えたら遠慮なく次の一歩を考える──そのくらいの軽やかさでよいと思います。
大学病院の初期研修についての記事はこちら
市中病院後期研修メリット・デメリットの記事はこちら
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