後期研修を考える際、多くの医師がまず悩むのが「大学病院」か「市中病院」かという選択です。それぞれに特徴があり、どちらが優れているというよりも、「自分がどんなキャリアを目指すか」で最適な選択は変わってきます。
私自身、大学病院にしか後期研修プログラムが存在しないマイナー科を選んだため、都市部の大学病院の医局に入局しました。
かつては、後期研修や専門医取得の道は医局に所属することが前提でした。しかし、近年では医局に所属せずに(医局フリー)後期研修を修了し、専門医を目指すことも可能になっています。今回は、そんな医局フリーの実態と、そのメリット・デメリットについて解説していきます。
また、後期研修プログラムを選ぶ際のポイントや失敗しない選び方のコツについては、別途note記事に詳しくまとめています。医局選びで迷っている方や、シーリングがかかっている地域で人気診療科を目指している方は、ぜひそちらもご覧ください。
メリット
給料・待遇が大学病院に比べてよい
大学病院と比較したとき、最も大きな違いのひとつは給料・待遇です。
大学病院勤務の場合、大学からの給料だけでは十分とは言えないため、外勤日を設けて「大学病院からの給料+外勤先でのバイト代」という形で収入を補うことが一般的です。
一方、市中病院勤務の場合は、研究日などバイトが可能な日が設けられていることもありますが、基本的には市中病院からの給料だけでも十分生活できることが多いです。
また、給料以外の待遇面でも差があります。有給日数や補助金など、大学病院に比べて優遇されることが多く、たとえば平均有給日数は大学病院で10数日、市中病院では20〜30日程度と、倍ほどの差があります。
異動が少ないことが多い
市中病院の後期研修プログラムの場合は、その病院で専門医取得まで居れることが多いです。これも医局人事によって異動を余儀なくされる医局員と比較して、大きなメリットですね。
ただし、必ずしもすべての市中病院の後期研修プログラムがそうでないことも注意しましょう。
筆者が見学にいった市中病院の某後期研修プログラムでは、なんと毎年同じグループの関連市中病院への異動があるとのことでした。中には雰囲気が悪いと噂されているブラック病院や引っ越しが必要な遠方の病院も含まれていました。ちなみに、そのブラック病院は某医局の関連病院ガチャ”ハズレ枠”で問題児が送りこまれているようでした。意外に医局に守れていたほうが安全かもしれません。
また、そのほかにも、異動はないと聞いていたのに関わらず、突然半年間自治医大の先生がご勤務されている僻地の病院への異動が言い渡された方も知っています。給料は元々いた病院の倍になったようですが、引っ越し費用や家族のことも考えるとかなり渋いですよね。
もしも市中病院の後期研修プログラムを検討している場合でも、必ず異動の可能性がないかを確認しておきましょう。
役割分担がハッキリしており医師の仕事に集中できる
学生や研修医のうちはなかなか気づきにくいことですが、一般的に大学病院に比べて市中病院のほうが雑務が少ないとよく言われます。
大学病院勤務では、学生教育や研究など、臨床業務以外のDutyも多く課されます。また、日々の診療の中でも、ルート確保や胃管留置といった基本的手技、検体運びや患者さんの搬送など、医師でなくても対応可能な業務が多くあります。
その点、市中病院では大学病院と比べて医師としての本来の業務に集中しやすい環境であると言えるでしょう。
デメリット
人脈が広がりにくい
大学病院の医局に入局した場合と比べると、出会いや繋がりの数はどうしても少なくなりがちです。人数が少ない分、関係性の濃さは増しますが、そのぶん当たりハズレも大きくなることがあります。
医師の世界ではコネや人脈が重要な場面も多いため、こうした点は意識しておく必要があります。
ただし、病院内での人付き合いよりもプライベートを大切にしたい人にとっては、無駄な人間関係に悩まされることが少なくむしろメリットとも言えるでしょう。
症例が足りないこともある
後期研修プログラムは、基本的に専門医取得に必要な要件を満たすよう設計されています。もちろん、市中病院でも専門医の取得は可能です。
ただし、プログラムによっては症例数が十分に確保できない場合もあるため、気になる病院やプログラムがある場合は、過去に症例不足が問題になったことがないか事前に確認しておくと安心です。
実際に筆者の周囲でも、産婦人科で症例が不足し、途中から医局に入局せざるを得なかったというケースを聞いたことがあります。
情報が入ってきにくい
医局に所属していると、さまざまな情報が入りやすいというメリットがあります。
「誰と誰が付き合っている」といったちょっとした噂話から、「この病院はバイト代が高い」「留学先のポストが空いた」といった有益な情報まで、内容は実に幅広いです。
もちろん、情報過多はストレスの原因にもなりますが、情報は時に強力な武器にもなります。
取捨選択を意識しつつも、情報が自然と入ってくる環境に身を置くことは大切です。
市中病院でも規模や雰囲気はさまざまなので、可能であれば閉鎖的すぎず、適度に情報交換ができる環境を選ぶのがおすすめです。
後期研修プログラム変更・転科はできる
じつは初期研修と同様に後期研修もプログラムの変更が可能です。しかも、診療科はそのままでプログラムのみ変更する場合は、年次がずれることなく専門医も取得可能な場合が多いです。ただし、学会やプログラム責任者の承認が必要な場合があるため、転入先の施設・医局に事前に確認しておくことが大切です。
実際に筆者の知人で後期研修プログラムを変更した人と転科した人どちらもいますが、一時的に苦労はされましたが、今は生き生きとご活躍されています。後期研修選びを誤ったからといって、人生が終わるわけではありません。
むしろ、「自分に合っていないかも」と感じた時点で早めに軌道修正できる柔軟さのほうが大切です。医師としてのキャリアは長く続くものですし、環境を変えることで見えてくる新しい視点や出会いも多くあります。
「とりあえず今の選択が最善」と思える場所で頑張りつつ、違和感を覚えたら遠慮なく次の一歩を考える──そのくらいの軽やかさでよいと思います。
大学医局入局についての記事はこちら
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